先日IBMのカンファレンスに行った
数ある中で目に付いたセミナーにIBMとAppleのビジネスに関する話があった。「モバイルを起点とした業務改革」という題であったが中身はiOSを何故採用したのか(Appleと提携した理由)など、すでに多くの人が知っていた情報を最近DoCoMoから転職された方が話されていた。
アップルとIBMは何故提携したのか?
これは相互に弱い分野を補填するためと考えるのが無難であるが、では弱い部分とは単にIBMはビジネスでアップルはコンシューマー向けなのでアップルはもっとビジネスへ、IBMはもっと利用者に接近するのが良いと考えたのだろうか?
単純ではないが、IBMはもはやBusiness Machineは利益がでないと考えソフトへとシフトをかけた。汎用コンピュータだけでなくデバイス端末の開発にも乗り遅れて、もはやアップルはもとよりGoogleにもなれない事もあって、IBMにとって利用価値が高いであろう端末メーカーと手を組むことになった。
ワトソンから見えて来るIBMの戦略
いまIBMが力をいれている人工知能Watsonを活用させるに格好な機器は何だろうか?ソフトバンクと提携してPepperに搭載?すると言う方向性は新しいが、普及している端末ではない。
IBMは長大なデーターを餌にするWatsonに与えるためのビッグデータの取り先を持っていない。もはやビジネスと言えども個々人の管理から始まる時代である。個々人の業績、生産性、健康状態、その他諸々のデータが必要になってくる。それらを取得するに必要な端末で各社各様でない仕組みをもっていて、且つ一番普及しているOSを持っている企業はどこか?その答えがアップルである。
いやAndroidの方が市場占有率は高いはずだ、と言われるだろうが。筆者の著作でも書いたがそれぞれの会社が出しているAndroidはAndroidそのものではなく、SamsunのAndroid、SonyのAndroidである。こうして計算していくとAndroidは各社各様の別々のOSと言う事ができファンデーションの基礎部分だけが共有化されていると言える。その視点から同一性が確保されているOSで一番売れているのはiOSと言う事ができる。
IBMはこのOSに着目して、同質な情報を鮮度の高い内に収集してWatsonに食べさせて学習力を強めると言う戦略にでたと考える。事実ワトソンは癌に関する論文数万件を読み込んで研究者が相互に認識できなかった癌に有効なタンパク質を特定したと言われている。多くの情報を解析して統計的回答を導き出す力は相当なレベルになっていると言われている。
AIに関しては前のブログにも書いたが、末恐ろしい反面、人間も進化している(新人類?)事を鑑みると、「考える」という側面で、「考えられたもの」(AI)がそれを超える事はできないのではないか?とも思われる。AIは考えているのではなく、判定しているだけなので、新しいものを生み出す力がある訳ではない(ような気がする)。
Watsonの情報がすべて正しい内容であるならば、相当レベルで進化している。IBMはアップルだけでなく多くの企業とタイアップしてWatsonを育てている。しかし究極は個人端末とWatsonが繋がったとき、Siriではできない多くの事が実現できる。すべてものを「おりこう」にする壮大な戦略がそこにあるように思えた。