2015年7月29日水曜日

中国減速が企業業績に影 ファナックやキャノン

「中国景気の減速が日本の製造業の業績に影を落とし始めた。ファナックは28日、中国でのスマートフォン(スマホ)需要減少で2016年3月期通期の業績予想を下方修正。日立建機と神戸製鋼所も建設機械が下振れし、同日発表した15年4~6月期決算はともに5割近い最終減益だった。設備投資の鈍化が関連業種に波及した格好で、中国の変調は株式市場の懸念材料にもなりそうだ。」(日経新聞2015/7/29 2:00

キヤノンは27日、2015年12月期の連結純利益(米国会計基準)が前期を4%下回りそうだと発表した。一部事務機の不振や為替関連費用の増加が響き、12年12月期以来、3期ぶりの最終減益になる。「昨年同様、大変厳しい状況」(田中稔三副社長)が続くが、目をこらせば、わずかに光明も見えてきた。成長軌道に戻れるか、今はまさに正念場だ。」(日経新聞2015/7/29 5:30

結局、景気は自動車以外の産業で良い結果がでていないのではないか?アベノミクス対策に呼応してベースアップなどしたものの、市場の動き、特に中国のバブル低迷は直接日本企業へのインパクトに繋がっている。


東芝の不適切経理の記事にも書いたが、基幹システムだけでは現状は把握することはできないし、恣意性のある数字が作られたら終わりである。しかしこのような事態を引き起こしたのはやはり、予算統制(経理的な狭義でない)における見通しの拙さが起因していると考えられる。予算の編成から統制まで基幹でやっているから良いなどと言う担当者もいるが、それは多くの場合予実績比較で終わっていることが多い。これは大きな企業でもその範疇を超えての見通しができていない。だから当初予算を達成する為に不正をしてまで数字作りに奔走することになる。

少し前にご紹介したエンドユーザーのためのEXCEL強化における製品など自由度の高いシステムをエンドユーザに使わせて現状を集積する仕組みを作っておけば、もっと上層部が柔軟に現場を把握する事ができたと考えている。

要は東芝などの大手でも見せかけの「見える化」を実施していて、現場からの声が数字でもあがってこない硬直したIT利用であったと言う事だ。現状がもっと分かっていれば予算必達とは言え出来ないものはできないとして、日立のような産み出し特別損失などの経理上の処理ができた筈である。

現実をみて対処する事は何も恥ずかしい事では無く、むしろ英断とも言える。それができるような情報処理をしなければならない。情報システム部は実態を届ける事も念頭に各部署をバックアップしていく事が必要である。

2015年7月25日土曜日

ガリバーiPad利用を止めるー miniなくなる影響か?

IT利用では先端企業と言えるガリバーがiPadの利用を止めるようだ。ガリバーはいち早くiPadを査定や営業に取り入れていたが、査定分野ではiPadからiPhoneに移行する。



査定ではiPadのminiを使っており、Appleの次回発表時からminiはデリバリーが無くなった事もあってメインテナンス及びサポートが薄くなるのを懸念した事も変更の理由とも言える。

登場時は熱狂をもって迎えられたアップルのiPad miniですが、先日とうとうアップルスオンライントアから姿を消しました。これで、非Retina液晶のiPad製品はなくなり、オンラインストアではiPad mini 2、iPad mini 3、iPad Air、iPad Air 2のみが販売されています。GIZMODO2015.06.22 15:05より)

現在は携帯電話(ガラケー)とiPadを営業マンに支給している為、特に査定で対象車の細かな写真を取ってそれを送るだけなら画面が大きい必要はそれ程ないとも言える。




iPhoneも6plusなので画面が比較的大きい事と写真機能が高い事に加えて携帯電話も代用できるので、コスト削減にも繋がるだろう。

2015年7月22日水曜日

東芝の不適切会計不正とITの内部統制

東芝の不適切な会計処理はIT不審にもなる


東芝の不正会計処理は、一見ITとは関係ないと思われるが、視点を変えればITは人為的に意図的な数字を作ってしまう事が分かる。その数字は、立派な会計システム及び今回問題になった購買関連システムによって処理された結果だからである。いくら立派なシステムを持っていても正しく使わないと正しい処理ができないのである。

<会計処理のインダストリー4.0は難しい>


もっとITを使って強化すれば良いと言う考え方もある。事実を事実として全てのトランザクションの扱いを制度も含めて統一して処理する仕組みである。しかしこれを実現する為には、インダストリー4.0のように会計処理などが取引先全てと連動されている必要があるし、IFRSの詳細な国際会計処理規則が必要になる。現在の会計処理そのものに恣意性がある以上これを統一することは、インダストリー4.0の実現より難しいと言える。つまり現時点では絵空事になってしまう。

<では如何すれば良いのか>


役に立たない内部統制の仕組み

ではどうすれば良いのだろうか?一番はモラルの問題になるが、東芝のように社長がやったら終わりである。しかもその前任者からの連綿とした悪質な体質と言える。エンロン問題でグローバル会計事務所が仕組んだ不正はその最たるものであった。結果としてSOX法が制定され日本にも導入され金融商品取引法における内部統制監査が入るも、US SOXに比べてお粗末すぎるいわゆるJ SOXではこの先不正は無くならないだろう。

どんなに厳しくしてもゼロになる事はないだろうが、その不正が発見的にでも分かる仕組みが必要になる。当然操作ログは取られているだろうが、主に誰が何をしたかが主体であって、どう処理されているかは分からない。また「処理内容が正しいかどうか」などは見る事が殆どないので(ログにそこまでデータが残ってなない、取られていない)中々発見が難しいと言える。

内部統制の強化は必須

これは制度の問題はなく、企業の問題として実施すべき事項である。US−SOXではCOBITと言うITに係わる統制内容に基づいてIT統制が規則付けられている。J−SOXはかなり運用を軽減させた内容になっているので、制度で内部統制ができていると思ったら大間違いである。現に筆者は両者のSOX整備に従事したが、J−SOXが甘いことは多くの会計士も言及している。

少なくともUS−SOXレベルの統制は必要である。しかしここが自己矛盾する所であるが,統制が厳しいと業務に多くの関門(統制内容)が設置されてスピード感を失う可能性および人的コストがかかってくる。ここで考える必要があるのが、統制では無く牽制である。内部監査論では統制と牽制は対として語られる。統制する前に牽制を十分効かせておく必要がある。

現在統制ばかりが注力されいるが、牽制を効かす必要が出てくるだろう。牽制とは「これをやると知られてしまう」であろう状態を作る事である。監査法人の監査も牽制の一部であるが、企業が監査法人を選んで報酬を支払っている以上、外部監査とは言い難い状況である事は以前から言われている事である。

今回もオリンパスの時も監査法人は恐らく事実関係を捉えていたであろうが、それが公表できない(指摘はしていたかも知れない)のが現状であることを知らなければならない。

ITに牽制能力を持たせるには、AIとは言わないまでも取引事実が会計処理される内容を検証する仕組みを入れていれば、処理がなされた時点で警告もしくは処理後にワーニングレポートで「不合理な会計処理」を提示する事が望ましい。またこのレポートは処理したものでない、第三者内部監査室などが独立性をもって検証するなど工夫が必要である。





2015年7月19日日曜日

エンドユーザーのためのEXCEL強化


ユーザーによるコンピューティング力の向上は業務の効率化に欠かせない。大半は基幹システムなどが業務を担っているし、中小中堅でも業務の基本はパッケージソフトなどが行っている。しかし多くの場合、その業務を補完するためにデータの下拵えにEXCELを多様化している現実がある

EXCELは非常に便利なソフトであるが故に、色んな人が色んな処理を作ってしまう。もうEXCELナシに業務をやろうとしても難しくなっているのが現実だろう。それらの対応に大変優れたソフトがあるので紹介しよう。その名はfusion_placeと言う。


fusion_placeには大きく4つの機能があって



その一番の特徴がEXCEL_Link(上図①)と言う機能である。これはEXCELとデータベースを繋ぐ為のアドオンでEXCELのメニューに追加される。その為他のリボンと同じように扱う事ができ、誰でもEXCELを介してデータベースとの遣り取りができる。データベースをハンドリングするソフトはJAVAで書かれており、非常に多くの機能をもっている。

集計機能を見て見よう


例えばEXCELでは売上総利益の計算は「売上−売上原価」という式をセルに埋め込んで計算されるが、fusion_placeでは式はいらない。なぜなら売上総利益が売上−売上原価である計算ロジックをあらかじめ持っているからである。


またデータベースは、多次元にデータを見る事ができるので、会計期間やセグメントなど複数持つ事がでる。ここ数年のデータの動きなどをEXCELなら元データを何枚(何年分も)もシートに貼り付けて、式を集計シートに書き込んで・・・・と複雑な処理が必要になる。しかしfusion_placeを使うと一枚のシートだけで複数年度を一度にデータベースから取り出して来る事ができる。

これにはユーザーがEXCELに初めて会ったときと同じような感動を受ける。このfusion_placeは60万円/年からと非常にリーズナブルな価格帯であるが、日本を代表する製薬会社も使っている。良いソフトを早く利用して安全で迅速な処理が確保出来ればユーザーのみならず会社の為にも有効と言えるだろう。その他の機能も今後紹介していきたい。


2015年7月4日土曜日

東芝の不適切会計が起きた理由?で思った事

「経営陣が、社内カンパニーや子会社のトップと経理担当から予算の達成状況や事業概況を直接聞き取るミーティングで予算達成を強く求めることがあったという。「予算達成の位置づけが高く、企業統治(ガバナンス)が機能しなかった可能性がある」(田中久雄社長)(日経新聞電子版2015/07/04)

と言う事が言われたそうだが、事実だとしたら数字だけを見て判断した経営陣のミスと言う事が言える。以前TOYOTA Investors Meeting 2015 基調講演にみる豊田章男氏のすごさでご紹介したように「現場を見ること」の重要性を改めて思い知る事態である。

「予算編成と管理」の重要性を私達もいつも提案しているが、それはあくまでも数字を扱う上でのコントロールの強化である。予実を単なる月次比較で無い「見込」ローリング予算に組み込んで期末達成を促す仕組みを提唱しているが、管理会計の強化はそれ自体で課題が終熄させる事で無く、その原因を追及するため、およびどの辺りに潜んでいるかを検証(分析)する精度を上げる事である

東芝の予算達成会議?はどの単位(月次、四半期など)で実施していたか分からないが、数字だけに囚われて何故その数字になったのか(ならないのか)を経営陣が理解しないと行けない。数字が悪い結果であれば、それを単に子会社やカンパニーのトップだけに対策を依存しないで、根本的な戦略の見直しやマーケットの読みの見直しなど、本社トップにしかできないデシジョン、検証をするべきだろう。

任せる事は大事だが、丸投げは宜しくないと言う好例になった。これを回避できるのがやはりトップが現場を知る事であろう。またなんと言っても改竄させるような統制のし方が、根本的に腐っている要因で有ることは間違いがない。