<日経ビジネスオンラインメールから>
「日経ビジネス 2013年9月30日号読みどころ」
「量は質に変わる」。今号の特集には、ウェザーニューズで
災害予測を担当するプロジェクトリーダーのこんな発言が載っ
ています。雷雨のため開始から約30分後に中止になった今年の
隅田川花火大会。実は同社は会員向けに花火の開始前に警報を
流していました。予測の決め手となったのが、現地にいる会員
たちが一斉に空撮し、投稿したデータ。一般の人たちによる情
報でも、大量に集まれば、気象予報士よりも精緻な予測を導き
出す。情報の量が質に転じるというわけです。
『「みんなの意見」は案外正しい』。今では一般的となった
「群衆の英知」「集合知」といった概念を紹介したジェーム
ズ・スロウィッキー氏の著書の邦訳です。ネット上で交わされ
る意見や市場で形成される値など、多様な集団が到達する結論
は、専門家の意見に勝るという考えが記されています。IT(情
報技術)の進展で、大量のデータを収集・分析する素地が整っ
てきました。ITを駆使して群衆の英知を結集し、国民の生活に
役立てること。それがビッグデータの真の意味かもしれませ
ん。
気象予測は一例にすぎません。売れ筋商品の見極めや保守部
品の交換時期といった経営に関することから、犯罪、事故、イ
ンフラ劣化のリスクの特定まで、従来の常識を覆す方法で予測
の精度を高めようとする動きがあります。一方で、政府や企業
が個人情報を取得して利用することに対する不安感も強まって
います。警戒する気持ちは分かりますが、もう少し前向きに捉
えてもよいのではないでしょうか。ビッグデータは国民の生活
を格段に良くする破壊力を秘めています。
(日経ビジネス編集長 山川 龍雄)
<ビックデータはこう使われる>
確かに多くのデータは真実に近づく事がある。と同時にコンピ
ュータのシミュレーション速度の向上でも多くの事実を予測す
る事ができるようになる。先日スーパーコンピュータを使って
地球上のすべての気象をシミュレーションする事に成功したと
言う記事が出ていた。
「理化学研究所や東京大などの研究チームは20日、スーパー
コンピューター「京」を使い、全地球の大気の状況を世界最高
の精密さでシミュレーション(模擬実験)することに成功した
と発表した。
積乱雲一つ一つの内部の構造も再現できるため、台風や局地豪
雨が発生するメカニズムの解明に役立つという。
同研究所によると、京では地球全体を水平方向で870メート
ル四方のマス目に区切って、それぞれのマス目の大気の状態や
相互の影響を計算することができるようになった。 従来のスパ
コンでは、3・5キロメートル四方のマス目での計算が限界だった。
垂直方向では、従来は約800メートルに区切っていたところ
を、約400メートルまで細かくできるようになった。
実際の気象データを使って計算したところ、細かな雲の形のほ
か、積乱雲の中で強い上昇気流が発生している場所なども再現
できることがわかった。 」
(2013年9月21日07時57分 読売新聞)
ビッグデータは確かに多くの予測をもたらすものだろうが、冒
頭であった『「みんなの意見」は案外正しい』くて、多くの歴
史からの教えや、勘を働かす、事など当たらずとも遠からずと
考えれば、相当の確立で予測ができている事になる。
<ビッグデータに便乗>
それでもその結果を分析しないと気が済まない人達が、ビッグ
データと言ってその活用を促している気がしてならない。それ
程までにシミュレーションに自信があるなら、その結果をもっ
て売上が上がることを証明してみれば良い。
DoCoMoなども調子に乗って、自社携帯を持つ人達の位置情報
をビックデータと称して販売しようとしている。これに似たこ
とはJRのデータ販売でも言えることである。これは明らかにの
個人情報の利用で有り、個人は明かさないと言っても、実際に
利用されているコマの1つであればあまり良い気分ではない。監
視社会の中で勝手に自分のデータが使われて居るのは気分がよ
くない。
ここまでしなくても、多くの人が思っている事、いわゆる常識
とか、感じる事が、トレンドとして間違っていないなら、大き
なコストをかけてまで、ビッグデータを使う必要があるのだろ
うか?
<データが正しいのではない>
ビッグデータが正しいという良い方は、間違っている。ビッグ
データを分析する分析官が優秀(もし当たって居るとすれば)
と言えるのである。この活用に際しては、やはりその専門家が
いるわけで、冒頭の専門家より正確であると言う表現は、ある
意味間違っている。
IT企業やコンサルティング会社では、このビッグデータ分析に
多くの人材とコストを掛けている。これはニーズがあるからな
のか、あると見越しているのか?これもビッグデータで答えが
出たのだろうか?それを専門に扱っているのだから、今後数年
このビジネスが転けたら話にならないだろう。
しかし人間の消費行動などは行動科学での分析のように、そう
そう変わるものではない。だから歴史的な経験などが活かされ
るわけで、それ以上の事があるのだろうか?ビッグデータにし
ても各種各様な分析が集中的になされて、結果としてやはりそ
うだったかという事を検証したに過ぎなかったとならないか心
配である。
<予測不能と人間の行動>
そうはいっても、観や経験だけで想定できない細かな分析と予
測を行うのがビッグデータと言うだろう。このデータを使って
例えば商品の売れ行きを緻密に分析した結果、在庫を正確に持
つ事ができるとしたら、どうだろう。皆さんはこの色が欲しい
と思って店に行ったがなかった経験があるだろう。その時あな
たは、商品が入荷するまで待つか、もしかしたら別の色の商品
を買うか、どうちらだろう。仮にビッグデータにより、後者の
選択がなくなったら、それはそれでつまらないかも知れない。
何故なら、買おうとした色以外の商品に愛着がわくこともある
からだ。偶然の経験ができなくなると言える。
分析通りに動かされるのも面白くない。と言う考え方も出てく
るのではないか?それも想定してビッグデータは分析できる
か?事実をいくら集めてもそれ以外の事は出てこない。多くの
会社が在庫管理を行っているが本当に適正在庫をもてる会社な
どひとつまみしかない。ジャストインタイムができる企業がど
れだけあるか?その企業ができると言う事は、そこに納品する
企業が在庫を持っているだけだ。生産計画通りに物を作って売
れるならそんな簡単な事はない。
銀行で金を借りてビッグデータを買って、商売するしればたち
どころに大金持ちになれるのではないだろうか?それができな
いから、そこまで信用できないから依存することができないだ
ろう。
<ビッグデータの使い方>
ビッグデータ分析にあう商品とそうでない物があるだろうか
ら、何でもかんでもビッグデータを活用すると言う考え方はや
めた方が良いだろう。およそ売れ筋を事細かく分析する為のリ
テール関係の情報としては有用な気がするが、自動車や不動産
など大型消費財にはあまり意味がない分析のように思える。
持論を翻すわけではないが、観や歴史的常識などが、当たる確
率が51%としたら、ビッグデータで55%にでもなれば、やらな
いより増しな分析と言えるかもしれない。なんでもかんでもう
まく行くようなマスコミの煽り方には抵抗を感じるが、少しで
も良い結果を望んだ結果からの分析手法であろうから、「どん
な分野」に「どんな効果」があるのかを明確に説明していく事
が必要だ。
【この記事のまとめ】
始まったビジネスに水を差すわけではないが、流れに乗ること
が必ずしも良いと言えない事も、歴史的に証明されている(バ
ブルを見ればわかる)、自分の立ち位置を考えて、その有用性
を理解してから利用を検討するべきである。