「出版大手KADOKAWAと動画配信大手ドワンゴ。両社が14日に正式発表した経営統合は、日本企業がいよいよ世界のコンテンツ流通プラットフォーム(基盤)の主導権争いに本格参入することを意味する。
ここ数年出版社だけでなくやレコード会社、テレビ局などは、米グーグルや米アマゾン・ドット・コム、米アップルなどコンテンツ流通プラットフォーム(基盤)を牛耳る欧米のIT列強に“泣かされて”きた。10月に設立する新生「KADOKAWA・DWANGO」が目指すのは、収益をきちんと適正にコンテンツの作り手に還流できる日本型のエコシステム(生態系)の構築にある。既存の流通に不満を持つ世界中のコンテンツ会社からの支持が得られれば、対等な立場でIT列強と勝負できるかもしれない。」(2014/5/15 7:00 日本経済新聞 電子版)
引用が長いが、昨日から角川とドワンゴの経営統合いわるゆる合併話で持ちきりの感がある。と言うのも、グーグルやアマゾンなどのインフラ会社によって、コンテンツの価値が低くなり、ゆえに提供される質の低下や供給の低減というマイナスのスパイラルに陥りかけているリスクへの挑戦だからである。
具体的には、出版における本の価値つまりは著作権料が不当に低く設定され、インフラ会社のアマゾンの実入りだけが大きくなる仕組みになっている。本来そのインフラを通じて価値を買うのは本の内容であるにもかかわらず、インフラを提供しているアマゾンの価値を高める結果となっている。
ネットビジネスの観点からは、これは正当なものではあるが、売られる本や商品の価値を下げるに至っている傾向は歯止めを掛けなければならないだろう。
スマホの利用で問題になっている学生の依存症に関しても、学習とくに覚えるものに関しては「ネットで検索すればでてくる」という安易な使い方に流れており、学習の阻害要因にもなっていると言われている。ネット上の情報が必ずしも正しい物ではないと言う前提が学生には理解できていない。これがインフラだけに頼るとあとでしっぺ返しが来る事のリスクである。
またこの検索された情報提供者になりうる人達がしっかりした知識と提供に対する対価を今後も得られないとすれば、今後提供できる能力の低下とともに、提供する価値を見いだせなくなり、結果として新しい情報は手にはいらなくなる事態を招くことになるだろう。
このような少々悲観的な将来を見据えて、この角川とドワンゴの統合でコンテンツの価値を維持し正当な評価をしつつ、それを流通させるインフラも持ち合わせるとしたら、多くの賛同が世界中で得られるであろう。
しかしここまで確立されたグーグルやアマゾンの牙城を崩すには相当のアイディアと体力も必要になってくる。正義が勝つのが正しい姿だとは思うが、世界の利用者の評価が結局は軍配を左右する事になる。