2014年1月6日月曜日

今年は3Dプリント3D CADが実用化する

オートデスク(米3D CAD大手)が「クラウドサービス」を拡充する。建築用CADや自動車部品用CAMをクラウド環境で利用する事ができる。クラウドの利点でもあるサーバーやアプリケーション、OS、DBの管理が必要ない事で、初期投資は当然抑えられる。これまでも紹介してきたようにいくつもの会社がクラウドサービスを強化してくる。

年末から情報があったので、ここで3Dプリンター関連に関するまとめをしていきたい。3Dプリンターは日進月歩で銃まで作れるようになってしまったが、これは少量単品生産には打って付けの機器である。しかしそれを使う為の設計が必要になるが、まさにここが味噌なのだが、この3Dの設計を助けるのがCADである

5本のブログ記事を書いてきたが、どれも昨年始まりに拍車がかかり、今年花開きそうなものばかりである。トップに書いた3次元CADのブログで始める事を伝えたが、本日の日経産業新聞でオートデスクが拡充したとのニュースを得た。いよいよ始動であり、中小中堅企業のメーカーだけでなく、個人技術者でも製品を設計、作成、販売できる環境が
整った。


1.3次元CAD、リースで格安 開発スピード加速に一役


「3次元(3D)CAD(コンピューターによる設計)ソフト大手各社が主力ソフトのリース事業を相次いで始めている。数カ月単位でCADソフトを貸し出すサービスだ。製品の設計・組み立てを再現するCADソフトは1つ100万円するものも少なくない。初期投資が膨らむため、3DCADを導入するのは大企業が主だった。柔軟な利用形態を提案することで、中小企業の需要掘り起こしを狙っている。」(2013/12/23 7:00 日本経済新聞 電子版)


米3DCAD大手シーメンスPLMソフトウェアの日本法人(東京・渋谷)は10月、主力CADソフト「ソリッドエッジ」のリース販売(Solid Edge Monthly Subscription)を始めた。1カ月単位で契約できる。ソリッドエッジのパッケージソフトを購入すると100万円程度かかるが、リースでは月1万5000~6万円で使えるようにした。これは零細、個人でも使えるレベルになった事を意味している



無料のiPadアプリ「Solid Edge Mobile Viewer」がある。これはCADが使えるわけでは無いが、「ソリッドエッジ」(前述)で作成したCADデータを見る事ができる。つまり顧客にiPadで「こんな製品」というデモができると言う事である。中小中堅では作成したものを、売り込むためのプレゼンツールにする事もできる




そもそもPLMってなんだ。Product Lifecycle Management の略語でフルにすれば分かりやすい。製品の生命管理とでも言う意味で、
① 企画・開発から② 設計、生産、製造、③ 販売、メインテナンス、④ 生産打ち切りまでを管理する。またITソリューションを言う事もある。
ここでは、その中でも設計に関連するCADシステムを期間を区切って提供してくれるサービスが始まった事を意味する。リースと言っているが、レンタルの意味で買い取り義務はなさそうだ。契約期間を決めて月額で使えるようだ。個人の技術者でも15,000円/月であれば使えるだろう。ビジネスへの展開チャンスかも知れない。





今年、世界で約30の拠点を構えるCAD/CAMソフトウェア、計測/検査機器向けのソリューションなどを提供する企業英Delcam社を買った(2015年買収完了予定)米CADソフト大手オートデスクの日本法人も9月からリースを始めたようだ。

機械部品の設計用だけでなく、土木建築現場や生産ラインをパソコン上で設計できるCADなど10種類あるそうで、契約期間も1カ月、3カ月、1年間の3つから選ぶことができる。機械向けで月額52,500円という。(本日の記事ではここの利用範囲が広がり、自動車部品設計までクラウドでできるようになる内容である、範囲が広がる一歩前進と言える)

利用者には同社のクラウドサービス「オートデスク360」も提供するそうだが、こと設計データを扱う上ではセキュリティー面で心配があるだろう。大企業でもネットを使っては居るが、専用サーバーとVPNもしくは専用線で暗合化してCADデータをやりとりしている。

どこまで安全性を期待するか、使い勝手や依頼先との接続性を優先するか、中小中堅企業では、スピードを競うならある程度のリスクを取ることも考えても良いかもしれない。






2.製造業を作りかえる 「誰もがメーカー」挑む起業家たち


 製造業の再生、グローバル対応、雇用・新たな働き方の創出――。いま日本は3つの難題を抱えている。壁は厚く高いが、知恵と技術で打ち破ろうとする起業家たちがいる。変革の最前線に立つスタートアップ。その秘めたパワー「!」に迫る。(日経デジタル2013/10/7 )

カンブリア宮殿で若きひとり会社「ビーサイズ株式会社 ( Bsize Inc. )」の八木社長の話を聞いた。下図はこの会社が注目されるに至った最初の製品LEDスタンドである。このシンプルで斬新なスタイルは秀逸である。脇役で実用的なのにデザイン性が高い。





最近3Dプリンターの話題も多かったが、今ひとつピントこなかった。もちろんメイカーズも読んだ。しかし現実的にどうやって使っているんだ、と言う事が分からない。番組を見て腑に落ちたが、


しかし分かったのは、この社長のバックグランドだった。大阪大学で電子工学を学んで富士ゼロックスで機械工学を体得した。デザインはもともと好きだったようで独学だそうだ。

当たり前だが3Dプリンターが製品を自動的に作ってくれる訳ではない。機会として、ひとりでできる可能性が広がったのは確かだが、製品を作るには、特に量産品ならCADが使えなくてはならない。CADは設計を助けてくれるが、設計デザインができないと図面にできない。またこのデータを3Dプリンターで試作できたとしても、それが製品になるわけではない。趣味でフィギアを作るなら個人で楽しめるだろうが、製品となればそうは行かない。しかし試しにと言う人にはAuto deskだろうか。





3Dプリンターも個人がちょっと触ったくらいでは使いこなせないようだ。最初のヘッドの調整や水平維持など、通常のプリンターと同じと思っていたら大間違いである。プリンターと言えば敷居が低いが、これはれっきとした「試作機」である。メイカーズなどで脚光をあびたが10年前ぐらいから製品化されていたようで、目新しいものではない。


また事業と言う事で言えば、前述のビーサイズは「STROKE」が斬新で受入られたから4万円もするスタンドが1500台も出荷できたのだと思う。これが当たらなかったら次の矢を打たなければならなかっただろう。今でこそ無接触の充電装置を木を使って製品化させているが、これからもチャレンジが続く。しかしデザイン性が高く普遍的な製品(スタンドは誰でもつかう)は、大手量産品に埋もれることなく生きていけるだろう。


果たしてこれから事業化する人達に、この「デザイン力」と「設計技術」があるか、と言えば難しい場合が多いだろう。でもそんな時はやはり外部の手を借りれば良い。電子工学をでていなくても秋葉原など電気街(どこにでもあるだろう)に行くと電子パーツが沢山売られている。こういう事をしたいと言えば店主が教えてくれる。自分の企画に合わない場合は、メーカーに依頼してみれば良いだろう。

販売が一番厄介だが、製品があれば比較的簡単に独自のネット販売やAmazonや楽天など使って固定費を掛けずに売る事ができる。手数料などかかるが、これは仕方がない。また資金にしても製品があれば分かりやすいので、一般からでも収集する事ができる。所謂クラウドファンディングだが、これも日本で「READY FOR」が始めているので、トライすることができるだろう。

いずれにしても感じたのは、いつの時代も「企画力」と「実行力」があれば何でもできる。


   


3.「3Dプリンター」の先を狙う日本の力


キヤノンITソリューションズ
ヘッドマウントディスプレー(HMD)と呼ぶ眼鏡型端末を装着すると、設計段階にある複写機の新製品が目の前に実物大で浮かび上がる。開発者は、交換部品を円滑に取りつけられるか、工具による修理作業に支障がないかなどを、あたかも実際の製品に触れるかのように確認できる――。

パナソニックと工作機械メーカーの松浦機械製作所が共同開発
 3Dプリンターは樹脂製品の少量生産や試作プロセスには向く一方、大量生産に使
うのは難しい。この量産工程の革新を狙う国産技術が、パナソニックと工作機械メ
ーカーの松浦機械製作所が共同開発してきた「金属光造形金型」だ。
(日経ビジネスDigital)


<キャノンのHDM ARシステム>


さすが日本企業と言うべき製品で、キャノンのHDMはすでに発売されているが、今回双眼にしたものを発売した。装着者の動きを捉える3DのCADなど込みで1000万するそうだ。VR(Vertical Reality)の結果を実際に試作しないで済むとは思わないが、その前段で機械などのメインテナンスのし易さなどVRの仮想映像で見る事ができるので、相当製品に近いものを設計する事ができる。

製品化のスピードアップが図れる筈で、トータルコストでみると日本で作った方が良いものがある。製造原価+試験研究+αで考えたとき、設計部署を海外にもっていく企業もあるが、本当にコストが抑えられているのか今一度検討した方が良いだろう。量産に入れば海外コストが安いのは分かるが、製品の「試験的なもの」については、海外依存するばかりでなくじっくり国内で検討するのが良いだろう。その為にはこのような先端技術を使いこなした企業にアドバンテージがあると言える。


<パナソニックと松浦製作所の3Dプリンター>

次に黒字化したパナソニックと松浦製作所が作成した3Dプリンターだが、これは大量生産の為の金属金型を作って仕舞うというものである。3Dプリンターは試作時間の短縮で使われるが、それで生産するわけではない(一部プラスティック製のフィギアなどあるが)。

これは生産に必要な金型を3Dプリンターで作ってしまうものだから、これはインパクトが大きい。金型を作るには時間がかかるとされているので、これが簡単にできてしまえば量産までの時間を大幅に短縮する事ができるはずだ。これまでと1/3短縮したそうである。



  


4.「お手軽」3Dスキャナー続々、ハンディータイプも


自力で好みのフィギュア(人形)を作れることなどから、安価になってきた3D(3次元) プリンターが注目を集めている。だが、出力用の3Dデータをどう作るかが大きな課題だ。素 人には、高度な3Dデータ作成ソフトは敷居が高い。そこで、数万円から10数万円で買える機 器も登場するなど、3Dスキャナー市場が急速に立ち上がりつつある。(2013/11/28 7:00 日本経済新聞 電子版)

この記事でのポイントは、3Dデータに関するものである。いくら3Dプリンターが安くなったとは言え、その出力データをどう作るかは結構問題だ。3D CADの経験がないと難しい事は確かである。
  
ここで登場するのが、3Dスキャナーである。このデータを元にして3Dプリンタ−のデータが作成できるそうである。「その1つが、トレーに置いた小型の造形物をスキャニングできるタイプだ。米メイカーボ ットが開発した「MakerBot Digitizer」や、カナダのマターフォームの「Photon」といった製 品は、直径、高さともに20センチ前後の物体を3Dプリンターで扱えるデータにそのまま置き換 えられる。
 2013/11/28 7:00 日本経済新聞 電子版)



この他にも今後が期待できそうな製品もある。タブレットを使って3Dスキャンする技術だそうだが、人気があるのは米ベンチャーのオクシピタルが開発する「Structure Sensor」だ。 





ここまで来ると本当に、3Dプリンターでフィギアを作ると言うレベルではなく、壊れたコンピュータ部品を3Dスキャンして、正常に戻して3Dプリントして部品の修理を行うなどが可能になる。この3Dスキャナー(3D CAD)と3Dプリンターの組合せで何をつくるのか、それもこれからのビジネスのネタに成る


5.iPad用の無料3D作成アプリ「123D Ctrature」がAppleのBEST OF 2013を受賞




オートデスクは12月18日、同社が開発するiPad上で3DキャラクターをデザインできるiPad用の無料アプリ「123D Ctrature」がAppStoreの「BEST OF 2013」を受賞したと発表した。(マイナビニュース 2013/12/19 )

同アプリは利用者が紙粘土を触るような感覚でiPadを操作し、3Dキャラクターを作成できるのが特徴。3Dデータは、同社が運営するコミュニティサイトで共有したり、利用者が画像にして保存したりできるほか、3Dプリンタを使って3D造形を作るなどの使い方ができるらしい。



3Dプリンターの操作は、以外と難しいと言う記事が多く出ているが、データを作るソフトや立体画像を撮る装置などは、結構でてきている。ここにきて「123D Ctrature」などの3Dアプリが脚光を浴びると、敷居がまた下がった。3Dプリンター自体も10年を経てきたとは言え中国企業の廉価版などが出てきたのは今年(昨年)である。その意味ではまだ普及における元年とも言えるので、今後容易な操作で3Dプリンターが使える様になるに違いない。


日本製で廉価版でかつiPhone5のスマホケースなどが作れるのは、オープンキューブの『SCOOVO C170』である。これも今年7月29日に発売された。最大造形サイズ150(W)×150(D)×175(H)ミリを実現し、最小積層ピッチは0.1ミリ。

中小企業において、小さなものなら試作ができる3Dは魅力的である。簡単に使えるのを待つか、頑張っていま使いこなすかが課題になるだろう。コストを少しでも抑えられれば、専門家に頼んでもいま使える様に学習した方が有利である事は違いない。



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