2013年12月18日水曜日

アマゾンもう1つの巨人 クラウドが通販を超える日

「米アマゾン・ドット・コムがクラウドコンピューティング事業で快走している。得意とする中小・ベンチャー企業向けに加え、大企業や官公庁からも相次いで受注に成功。同分野で独走状態を築きつつあり、ジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)も「長期的にインターネット通販を上回る可能性がある」と自信を深める。」(2013/12/18 7:00 日本経済新聞 電子版)

米調査会社のシナジーリサーチグループによると、アマゾンがアマゾンウェブサービス(AWS)のクラウドサービスで、売上高は7~9月期に前年同期比55%増え、7億ドル(約720億円)を突破したという。201312月期には35億~40億ドルに達するとしている。



凄い勢いのAWSであるが、11月中旬に開いた利用企業・開発者向け会議「re:Invent」では、昨年より5割多い9000人が参加したらしい。ここで、アマゾンのアンディ・ジャシー上級副社長は、クラウドを使う「6つの利点」を強調した。

(1)IT関連費用の変動費
(2)コスト低減
(3)必要なコンピューター能力の事前推定が不要
(4)柔軟性やスピードの向上によるイノベーション(技術革新)の促進
(5)IT関連社員の戦略部門へのシフト
(6)世界展開が容易


またアマゾンはAWSの普及を促すため、アマゾンは積極的な値下げを提案している。AWSには2つのプランがあるが、①より②がお得ですと的な内容を提示してくるらしい。
① 必要に応じてサービスを買う「オンデマンド」プラン
② 一定費用を前払いして予約する代わりに単位時間あたりの料金が安くなる「リザーブ」などのプラン



飛ぶ鳥落とす勢いではあるが、当然他社も黙ってはいない。IBMは今夏、AWSと同様のサービスを提供する米ソフトレイヤー(※1)を買収。グーグルも12月初め、AWSの対抗サービスとなる「グーグルコンピュートエンジン」を一般公開し、値下げにも踏み切った。MSも「ウィンドウズ・アジュール」の値下げ攻勢を強めている。

(※1)IBMはソフトレイヤーを自社のスマートクラウド部門と統合し、クラウドサービス事業を手掛ける新たな部門を設立する計画。調査会社IDCによると、同事業の市場規模は16年までに昨年の2倍余りの1050億ドルへの規模拡大が見込まれており、IBMは事業拡大のチャンスと判断した。ソフトレイヤーはアマゾンが支配的な地位にあるパブリッククラウドに特化している。(2013年6月4日(ブルームバーグ))

グーグルの「グーグル・コンピュート・エンジン」は、評価の高いデータセンターやカスタムビルトのサーバーといった資産を活用することができる。このデータセンターやサーバーはグーグルの検索エンジンの運営に利用されている。グーグルによれば、新サービスはとりわけ何千ものプロセッサーを必要とする科学的な計算など、「計算的に負荷のかかる」作業に適しているという。

インターネットを通じて提供されるサービスは、クラウドコンピューティングないしIaaSinfrastructure as a service=インフラをサービスとして提供すること)とも呼ばれているが、こうしたサービスへのシフトが起こっているのは、やはり以下の2点に気付く企業が多くなっているためである。
①事業運営に必要なサーバーやソフトウエアの管理を他社にやってもらった方が簡単で、②費用もそれほどかからないこと
しかし日本の多くの企業では、①②に関しての理解が低く、取り分け情報システム部などが既得権を堅持するために、これをセキュリティーの観点と言って認めないことが多い。早くクラウドをうまく利用していかないと、余計なコストと技術革新に遅れてまた後手に回る事になるだろう。



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