<データと情報>
ここで新資源と位置付ける「データ」とある。カネ自体がカネを産まないように、データ自体はそれ以外の何物でも無い。私はかねがね「データ」と「情報」は違うと言う事を言っているが、この「データ」という資源は、鉱物のようにいろいろな形に変化する。
つまりデータの分析の方法で、それぞれ異なった「情報」が産みだされる。大体「情報」というものは、有るべき方向に、もしくは有りたい方向に導かれる事が多い。恣意性を取り去るための方策を決めないと、資源がゴミに変わる事もある。
落ちこぼれをなくす「学びチャート」?
さてこの記事では落ちこぼれ防止として、学生の実態分析を行う富士通の「学びチャート」を題材にしている。
① 学生のリポート提出率
② サーバーにある予習資料へのアクセス回数
など役60の学習行動を分析し、数値化してチャートに表示する。
過去の学生のデータを蓄積、照らし合わせれば、試験をする前にその学生が単位を取れるかどうかなどが類推できる。学習の進み具合に合わせて特別なカリキュラムを設けるなど、「落ちこぼれになる前に手を打てる」(富士通)。少子化が進む中で若者の脱落は社会にとっても損失。新技術は教壇からの一方通行になりがちな教育のあり方に変革を迫る。(2013/12/30 2:03 日本経済新聞 電子版)<ビッグデータの欠点>
これって、そもそも教師がやる事ではないのか?もちろん、このようなきめ細かいサービスを提供できないと思うが、機械的にやらせることが本当に「落ちこぼれを無くす」ことに繋がるかは大いに疑問だ。過去デーからの分析よりも、何故この生徒は落ちこぼれるのかを研究しなければならないし、落ちこぼれない指導をするべきではないだろうか。
落ちこぼれるのは、単に学習していないだけではないだろう。上記60の行動分析もどれも学習に関するものだけである。ビッグデータの欠点は、ここにある。特定のデータソースから普遍的な行動は導出できない、と言う事である。また人は進化するので同じ行動を取るのが90%あったとしても、後の10%で違う事をする可能性があり、この10%が売上の90%に影響する行動かもしれない不測部分をどうするかだ。
機械的にやるべきここと、そうでないことは明確に区分しないと、人が人を教える基本的なコミュニケーションがなくなってしまうリスクがある。
<リスクを意識して利用する>
この手の情報に関しては、冒頭で書いたようにデータの解釈そのものが独特の結果を産むことがあるので、これを鵜呑みにして利用する事は危険である。十分にリスクを意識した運用を利用者はしなければならない。
収穫日をあてる
NTTデータと日本総合研究所の共同出資会社が開発したシステムの的中率は9割だ。種まきの時期などを入力すると過去のデータや刻々と変わる気象状況などを加味して、最大の収穫量を得られる「その日」を割り出す。(2013/12/30 2:03 日本経済新聞 電子版)
これができれば、飢餓で苦しむ国でも有効な仕組みだろう。どの地域のどこで結果を出したか不明だが、詳しくは「作物品種や日々の作業情報と気象予測などを組み合わせたビッグデータの分析。野菜の収穫日と収穫量を事前に予測するサービスを開発(JSOL)」を
参照。”同サービスはGoogleが提供するGoogle Cloud Platformをサービス基盤として利用しており”とありクラウドで使える手軽さもあるという。これは過去データだけでなく、現在の気象状況を加味しているリアルタイム性が加わってる分確立が高くなるのだろう。
とは言え、昨今の異常気象など推測不能な状況があり収穫できなくなる可能性もある。この情報だけでなく、やはり現地現場をモニタリングする仕組みと組合せべきだろう。医療分野で予病
英国では医療費削減のため、287万人分の健診履歴を分析し、糖尿病など生活習慣病を予防するシステムの開発を進めている。英国は人口の5%が糖尿病患者。「高齢化や生活習慣病で医療費の増加に歯止めがかからない」(英国民保健サービスのマイク・バローズ博士)。社員への実験で1人当たり年2万円の医療費を削減した日立製作所にシステム開発を依頼した。(2013/12/30 2:03 日本経済新聞 電子版)
日立サイトより |
顔パスができる
顔パスができるようになるらしい。Paypalが展開する新サービスで来年から本格稼働するようだ。現在は「カフェ ネスカフェ」で試験運転しているようだ。自動認識もできるそうだが、この店では、店員が確認しているようだ。以前も顔認識で認識できなくて困った事を書いたが、本格的に認識するにはまだスマホではきつい気もする。方法は事前にスマホからクレジットカードと顔写真を登録しておくそうだ。いずれにしても多くの新技術が来年は花開き、私達の生活を便利なものにしてくれるだろう。しかしビジネスで利用する場合、ビッグデータの予測は過去データからの統計分析が主体であることで、母数が多い分正確性は増すものの、自分に取って、自社にとっての確立が上がっている事ではないので、それぞれの解釈と情報の活かし方が大事になってくる。